JEOL software

NMRスペクトルの表示を変える — CANVASをカスタマイズ

JASON CANVAS(キャンバス)の紹介: JASONにおいてユニークかつ素敵なことのひとつは、キャンバス(CANVAS)であると思います。キャンバスでは、複数の異なる種類のアイテムを同時に開くことができるます。また解析しているNMRスペクトルと(予測)分子構造との間にリンクを作ることなどができます。リンクをつくる方法については、今後のブログ記事でまた改めて紹介する予定です。 JASONのキャンバスは、データ(NMRデータ、分子構造、シミュレーション・スペクトル、信号帰属の予測、画像、テキスト)表示とユーザーの操作について、新たな可能性を拓くものです。しかし、作成するドキュメントの最終的な見栄えについての好みやニーズは人によって異なるものであることをわれわれは認識していいます。実際、JASONの開発チームのメンバーの中で、キャンバスの設定をお互い同じにしている2人はいないと思います。 この記事では、NMRスペクトルの表示方法に関して、JASONにはどのような選択肢があるのかを紹介したいと思います。 グリッド線の表示 キャンバスで開いたスペクトルには、グリッド線を表示することが出来ます。このグリッド線は固定したものではなく、スペクトルのズームレベルに合わせてスケールが調整されます。また、設定により、グリッド線を常に(グローバルに)表示する、もしくは非表示にする選択が出来ます。あるいは、個々のスペクトルに対して、それを表示もしくは非表示にするよう選択することも出来ます。下の画像は、同じスペクトルに対してグリッド線を表示(上)もしくは非表示(下)にしたものになります。 Comparing the [...]

By |2022-11-30T10:42:30+00:007月 30, 2022|JASON, JEOL software|0 コメント

JASONで使えるショートカットキー:煩わしさを避けて、賢く作業。

NMRデータの解析をするときは、解析にはもちろん何の手も抜きたくはありませんが、解析に必要なツールは面倒なく使いたいものです。JASONでは、そのようなツールへアクセスする近道(ショートカットキー)を用意しています。 JASONには、一般的なショートカットキー、例えばCtrl+S(MacではCmd+S)のようなものだけでなく、コンテキストツールバーの各ツールのような解析に特有の機能にもショートカットキーを設けて、ユーザーの仕事を手助けします。JASONのこれらのショートカットキーの優れたところに、ユーザーのいまいる操作モードに関わらず、別の操作モードへ一時的に切り替えること出来ることが挙げられます。   具体例: 例で紹介します。スペクトルの解析のときに私がいつもやってしまうことに(学習しない!?)、以下のようなことがあります。マルチプレット解析をするとき、私はマルチプレット解析ツールを開きます(キーボード上 ’m’ で開始)。カーソルの形がマルチプレット解析のそれに変わり、作業がここまで順調に進んでいることを示しています。がしかし、次の瞬間に、例えば次のようなことに気が付きます。つまり、解析しようと思っているピークには隣り合うピークがあって、その片方だけを選択するにはスペクトル画面が十分に拡大されていないということに、です。私は操作をやり直さないといけないのでしょうか?いいえ、心配は要りません!慌てずに 画面のズーム機能に相当するショートカットキーである‘z’を押します。するとその間、カーソルはズームモードの形に変わり、操作は一時的にズームモードになります。それで2つのマルチプレット信号の片方のピークの選択を行うのに必要な分だけ画面を拡大します。その後、’z’ キーを押すのを止めると、操作は元のマルチプレット解析モードに戻り、カーソルの形もマルチプレット解析のものに再び変わります。これで私は適切な拡大のサイズでマルチプレット解析を無事続けることが出来ました。   [...]

By |2022-03-31T12:34:41+01:003月 31, 2022|JASON, JEOL software|0 コメント

JASONによるSAPPHIRE ピュアシフトデータの処理

1HピュアシフトNMRスペクトルは通常の1Hスペクトルと比べて(各信号のシングレットが得られるため、その結果として)、最大で1桁程度までの見かけ上の分解能の向上が見込まれます。しかしながら、多くのピュアシフト実験で用いられている時間を区切ったデータの取り込み(chunked acquisition)は、一般に小さな周期的なアーティファクトを残念ながらスペクトルに生じさせます。これは、例えばダイナミックレンジの比較的小さい試料(例:単一試料)においてはそれほど深刻な問題にはなりませんが、少量の不純物(数%程度)を含むような試料の場合には問題になります。なぜなら、その小さな信号が不純物由来の信号なのか、測定のアーティファクトなのかがはっきりしなくなるためです。図1には、キニーネ(quinine)とカンフェン(camphene)の混合試料のZangger-Sterk(ZS)ピュアシフトスペクトルが示してあります。この試料のカンフェンのキニーネに対する相対濃度は1%であり、図を見てお分かりになるように、スペクトル全域に渡って小さなアーティファクトの信号が拡がっています。そのため、それらがアーティファクトなのかカンフェン由来の信号なのかの区別が、不可能ではないかもしれませんが、困難となっています。   図1.キニーネ(quinine)とカンフェン(camphene)混合試料のZS 1Hピュアシフトスペクトル。 [...]

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