ブログ2021-08-09T09:12:13+01:00

結合定数を測る:part1

By |7月 8, 2022|Categories: Applications, Liquids, NMR techniques|

NMR分光法において、1Hと13Cのような核間の異種核スピン-スピン結合は豊富な化学構造情報を提供します。しかしながら、時には情報が多すぎることや1H-1Hスカラーカップリングのような競合する情報に惑わされることが問題となります。複雑なNMRスペクトルを単純化したり、結合定数の測定を容易にしたりするため、これまで長年にわたって、数多くの非常にエレガントで興味深いNMRの手法が開発されてきました。これからいくつかの投稿を通して、最も重要で汎用的な方法に関する簡単な概要を提示しようと思います。最初の投稿では、数ある実験手法の中でも最もシンプルな選択的デカップリングを高分解能13Cスペクトルに使用した例を示します。以下に示すデータはROYAL-HFXプローブを備えた3チャンネルの JEOL ECZ-500分光計で測定し、JASONソフトウェアによって解析を行ったものです。   二重共鳴法 二重共鳴NMR(デカップリング)のアイデアはNMRが出始めた頃にWeston A. Andersonの論文の中で生まれました。そのWes(Weston)の仕事を含み、1950年代初頭(化学者がNMRを見つけた頃)のNMRに関する非常に良いレビューにRay Freemanのブログ(http://ray-freeman.org/nmr-history.html)があります。この文章は、啓蒙的で歴史的に重要なだけでなく、読んでいて非常に楽しいものでもあります。   パーフルオロ分子の例 [...]

JASONで使えるショートカットキー:煩わしさを避けて、賢く作業。

By |3月 31, 2022|Categories: JASON, JEOL software|

NMRデータの解析をするときは、解析にはもちろん何の手も抜きたくはありませんが、解析に必要なツールは面倒なく使いたいものです。JASONでは、そのようなツールへアクセスする近道(ショートカットキー)を用意しています。 JASONには、一般的なショートカットキー、例えばCtrl+S(MacではCmd+S)のようなものだけでなく、コンテキストツールバーの各ツールのような解析に特有の機能にもショートカットキーを設けて、ユーザーの仕事を手助けします。JASONのこれらのショートカットキーの優れたところに、ユーザーのいまいる操作モードに関わらず、別の操作モードへ一時的に切り替えること出来ることが挙げられます。   具体例: 例で紹介します。スペクトルの解析のときに私がいつもやってしまうことに(学習しない!?)、以下のようなことがあります。マルチプレット解析をするとき、私はマルチプレット解析ツールを開きます(キーボード上 ’m’ で開始)。カーソルの形がマルチプレット解析のそれに変わり、作業がここまで順調に進んでいることを示しています。がしかし、次の瞬間に、例えば次のようなことに気が付きます。つまり、解析しようと思っているピークには隣り合うピークがあって、その片方だけを選択するにはスペクトル画面が十分に拡大されていないということに、です。私は操作をやり直さないといけないのでしょうか?いいえ、心配は要りません!慌てずに 画面のズーム機能に相当するショートカットキーである‘z’を押します。するとその間、カーソルはズームモードの形に変わり、操作は一時的にズームモードになります。それで2つのマルチプレット信号の片方のピークの選択を行うのに必要な分だけ画面を拡大します。その後、’z’ キーを押すのを止めると、操作は元のマルチプレット解析モードに戻り、カーソルの形もマルチプレット解析のものに再び変わります。これで私は適切な拡大のサイズでマルチプレット解析を無事続けることが出来ました。   [...]

JASONによるSAPPHIRE ピュアシフトデータの処理

By |6月 1, 2021|Categories: JASON, JEOL software, NMR techniques, Pure shift|Tags: , , |

1HピュアシフトNMRスペクトルは通常の1Hスペクトルと比べて(各信号のシングレットが得られるため、その結果として)、最大で1桁程度までの見かけ上の分解能の向上が見込まれます。しかしながら、多くのピュアシフト実験で用いられている時間を区切ったデータの取り込み(chunked acquisition)は、一般に小さな周期的なアーティファクトを残念ながらスペクトルに生じさせます。これは、例えばダイナミックレンジの比較的小さい試料(例:単一試料)においてはそれほど深刻な問題にはなりませんが、少量の不純物(数%程度)を含むような試料の場合には問題になります。なぜなら、その小さな信号が不純物由来の信号なのか、測定のアーティファクトなのかがはっきりしなくなるためです。図1には、キニーネ(quinine)とカンフェン(camphene)の混合試料のZangger-Sterk(ZS)ピュアシフトスペクトルが示してあります。この試料のカンフェンのキニーネに対する相対濃度は1%であり、図を見てお分かりになるように、スペクトル全域に渡って小さなアーティファクトの信号が拡がっています。そのため、それらがアーティファクトなのかカンフェン由来の信号なのかの区別が、不可能ではないかもしれませんが、困難となっています。   図1.キニーネ(quinine)とカンフェン(camphene)混合試料のZS 1Hピュアシフトスペクトル。 [...]

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